現地研修

8月19日(火)

 2014年8月19日(火曜日)は,NACOSの現地研修の三日目となります。
 本日の日程は,2008年7月に世界遺産に登録されたジョージタウンの視察です。
 ジョージタウンは,マレー系,中国系,インド系の様々な様式で建てられた歴史的建造物があるところです。これは,一つのジョージタウンという都市の中に,各々の民族が昔から集落をつくり生活していることの証です。
 また,それぞれの民族の信仰する宗教がイスラム教,仏教,ヒンズー教とさまざまであることから,宗教の混在する都市であるとも言えます。
 歩道には,各宗教にまつわる様々な供花が売られていました。仏教は菊の花,ヒンズー教はジェスミンの花が主で販売されています。非常にカラフルな供花のつくりに団員たちは驚いていましたが,自然の花の色で人間の手が加えられていないことでした。
 初めに,ペナンの中国系の寺院の中で最も古い寺院の一つである観音寺に行きました。たくさんの人が途切れることなく参拝に来ていました。毎日の日課のようで,信仰の深さが感じられました。団員たちは,寺院では何が祭られているのかなどを,しっかりと学習していました。



 つづいて,カピタン・クリン・モスクを見学しました。
 カピタン・クリン・モスクは,19世紀初めに建てられたイスラム教の寺院で,インド系のイスラム教徒が参拝をするとのことでした。
 イスラム教は1日に5回お祈りがありますが,お祈りの時間の少し前に寺院の放送台から放送が流れ,その放送を聞いたら寺院にお祈りに向かうということです。
 モスクの中は非常に神聖な空間であり,寺院に入るときは,足や手などを洗って入るとのことでした。寺院の中は,メッカの方向が示されており,その方向を向いてお祈りをするということです。また,お祈りをする空間も男性と女性が分けられているということでした。団員たちは,現物を見ながらお話を伺うことができたので,イスラム教について,よく理解ができたようでした。



 つづいて,クー・コンシを見学しました。
 中国系の民族は,一族(家系)で専用の寺院を建立するとのことです。クー・コンシは,クー一族の寺院ということです。この寺院は非常に豪華な造りでした。中国系の民族は貧富の差があるということですが,この豪華な造りは,クー一族は豊かであるということの証とのことです。
 また,寺院の建立に際し,事故が起こらないように,お金を土地にばら撒いたり,建物の一部に忍ばせたりしているということでした。
 また,寺院の中には,建立に使用された道具なども展示されており,団員たちは興味深く見学していました。
 その他にも,一族が名前や出身大学,職業などが展示されており,一族の優秀さが誇示されていました。
 この寺院は,以前は無料だったそうですが,現在は,寺院の維持のために入場料を支払う必要があります。


 つづいて,昼食の場所に向かう途中,ジョージタウンは最近,ストリートアートが流行しているということで,いろいろな壁画がありました。
 昼食の後は,リトル・インディアの見学です。インド人の生活をみることができる集落です。ここでは,ヒンズー教に関連する商品やアクセサリーなども販売されていました。
 団員たちは,店員に英語で積極的にコミュニケーションを取っていました。日本語以外を学習することで,自分の世界が広がるということを実感できたようでした。


 その後,チョコレート・コーヒー博物館を見学しました。チョコレートやコーヒーができる工程を説明していただきました。


 また,このジョージタウンは,100年の歴史があるということから,世界遺産に認定されているということです。その景観を損ねないためにも,電力は電柱ではなく,地中化され,配電されていました。
 しかし,現在の日本人の感覚で見ると,その古き良き町並みには,道端に捨てられているごみなどが目立ち,衛生面で気になるところもありました。これは,戦後間もない頃の日本と同じ状況であるということです。
 団員たちは,このような場所を視察することによって,多文化共生についての国際理解を深めていました


 夕食は,日本人が経営している日本料理店でした。
 ペナン島でお店を開くときに苦労されたお話など,たくさん聞くことができました。団員たちも,外国で起業・経営することについて質問するなど,積極的に話を聞いていました。