枇杷? 琵琶?

枇杷と琵琶
 高級果実の枇杷、そして、楽器の琵琶。学区の中にも琵琶里という地名がありますが、学校の名前は枇杷島小学校。枇杷と琵琶、混在していて不思議に思いませんか。

漢字について
 最初にできた漢字は楽器の琵琶。漢字の上に琴があって、はじく音からきています。押すときの「ビイン」という音から「琵」があり、手前に引く音「バアン」から「琶」があります。その楽器に似た形をし果実ということで、木偏がついて「枇杷」という漢字ができました。

地名の由来
 食べる「びわ」、つまり「枇杷」がたくさん収穫できたから「枇杷島」という地名になったという話があります。
 もう一つ、別の言い伝えもあります。
師長は愛用の琵琶を娘に与えます。

 平安時代末期の話。学識にも優れ、琵琶の名手であった関白太政大臣藤原師長(もろなが)(1138-92)は、政争に敗れて平清盛によって尾張国の井戸田の里に流されました。そこで長者の娘と仲良くなったということです。ところが何年か後に都へ呼び戻される師長。都へ戻るときに琵琶を与えたましたが、師長を見送った後、娘はお供の手を振り払って、「白菊」を胸に身を投げたそうです。
その時に娘が琵琶の甲に書いて残した句です。
琵琶を奏でながら入水と、この資料では描かれています。

 四つの緒 しらべにかけて 三瀬川  沈みはてぬと きみにつたえよ

 四つの緒…琵琶のこと
 三瀬川…三途の川
白菊の琵琶 (模作 枇杷島小学校蔵)
 「白菊」という町名も残っていますね。
 学校の横には、娘と琵琶を弔われてきた静音寺があります。土地の人が霊をなぐさめるためにこのお寺を建てたということです。琵琶は清音寺に伝わり、後に皇室のものとなったそうです。

【参考資料】 広報なごや平成23年3月号西区版
        地名の由来9 西区「枇杷島」に残される恋心 中日新聞 2012年8月8日
        「枇杷」と「琵琶」が関係あるってホント? flanet.jp/column/201606.html
        ビワの語源 mboso-etoko,jp/sec/data/biwa3/biwa3.html
        尾張名所図会 https://websv.aichi-pref-library.jp/wahon/detail/94.html