デンソータイランドを視察して
黒木恭子
2001年7月24日
タイ・バンコク
日本を出発して3日目の7月24日、NACOSの研修が始まって最初でもあり、タイ唯一の企業訪問として、デンソータイランドを視察しました。デンソータイランドの工場はサムロン工場とバンパコン工場との2つがありますが、私達はタイの首都、バンコクから東へ約65kmの場所にあるバンパコン工場を訪問させて頂きました。ナゴヤドームの3つ分あるバンパコン工場はアマタナコン工場団地の内にあります。1998年よりバンパコンから名称を変更したアマタナコンは「永久・偉大なる大都市」という意味だそうです。このアマタナコン工業団地は153社の内、約100社は日系企業だと知り、数の多さに驚きましたが、バンコク市内の看板を思い出すと、日系企業がよく目についたのでこの多さに納得する部分もありました。
バンパコン工場に着いて私は2つ気になる点がありました。1つ目は従業員用の駐車場に屋根が付いていることです。なぜかと尋ねると、タイは日差しが強い為、車の温度が高くなり、仕事を終えた従業員の方が車に乗って帰れなくなるからだとのことでした。2つ目は、門に入ってすぐにある小さな宗教上の建築物です。会社にまで敷地を設け奉るタイの人の信仰心に深く感心しました。
建物の中に入ると会議室で、デンソータイランドについて資料を使って詳しく説明して頂きました。デンソーさんの売上げは、年々伸びる一方でしたが、タイバーツの切り下げにより、1996年から減少し始めたそうです。そして1998年、香港がイギリスから中国へ返還された年、タイバーツが大暴落し、ASEANはバブル崩壊したと言われました。その年の売上げは最も減少しましたが、今は徐々に増加しているそうです。
次にデンソーさんが「従業員の方を大切にしているなあ。」と感じたことが2つあります。1つは、98年の売上げが思わしくない時でも、デンソーさんは一切従業員の方をリストラしなかったことです。そしてもう1つは、障害者の方も仕事ができるようにスロープの配置、障害者用のトイレの増設、手すりの取り付けなど配慮しているところです。後ほど実際に工場内を見学させて頂いた時、3名の方が椅子に座って一生懸命働いている姿を拝見しました。また、WAFCA、WHEELCHAIRS & FRIENDSHIP CENTER OF ASIAという活動もしています。WAFCAの活動は、国内のみならず、タイを中心としてアジア諸国まで広がり、内容も福祉、教育、まちづくり、文化、スポーツ、国際交流・国際協力と活動を進めているそうです。
福利厚生制度は日本では聞いたことの無い、タイならではの休暇がありました。兵役休暇と僧役休暇です。徴兵制度のあるタイ王国では何度か兵士として仕事をする時があります。その為デンソーさんでは兵役休暇を設けています。僧役休暇は出家のための有給休暇です。タイの男性は一生に一度、僧の修行の為に出家しなければなりません。宗教が仕事にまで関わっていることにとても驚きました。
このデンソータイランドを視察して感じたことは宗教が大きく関わっていることと、従業員の方を大切にしているデンソーさんの心遣いです。デンソーさん。私達の為に貴重な時間を割いて頂き有難うございました。とても勉強になりました!