8月2日(第12日目)の報告
2000年8月2日(水) マラッカ シンガポール |
みなさんこんにちは。ナコスです。
マラッカでの素晴らしい一夜が明けました。今日はまず最初に、2社目のマレーシア企業視察として、TEAC(ティアック)に行きました。また、貿易相談所の土田さんには昨日よりご同行いただき、企業側との折衝をしていただいています。土田さんがいなければ、数々の企業視察は実現できなかったというわけです。 TEACといえば、ハイエンドな音響機器や、測量機器メーカーとして有名です。しかし、今回見学させていただく工場で製造しているのは、フロッピーディスクドライブ(FDD)やCD−ROMドライブ、CD−Rドライブ、CD−RWドライブなどの、コンピュータ用の外部記憶装置なのでした。今や、TEAC全体でも売上の70%程度はパソコンの周辺機器だそうです。そういえば、最近はパソコン量販店の店頭でも、TEAC製のこれらの製品を多く見かけるようになっています。かつて音響機器からスタートしたTEACが、コンピュータの外部記憶装置へ進出できた理由、それは、オープンリール(音声記録装置の一種。今でも、音楽CDのマスターテープなどはオープンリールである)で培った「磁気記憶(磁界を電気的に変化させることによる記憶方法)」の技術を、フロッピーディスクドライブの製造に応用できたことにあります。 フロッピーディスクは今でこそ3.5インチサイズのメディアが主流ですが、その昔は5インチ、8インチ、さらにその昔は12インチ(直径約36cm)などのサイズもありました。TEACではドライブ本体の厚さが1/2(ハーフ)サイズのものを中心的に開発し、現在製造している各種ドライブにおいても、このハーフサイズが大部分を占めています。これらは主にノートパソコンやPDA(携帯型情報端末)、そのほか、デジタルカメラの記録用FDDとして使われています。つまり、薄いものを作ることを得意としているわけです。実際の市場シェアも、薄型ドライブにおいては世界1位を保っているそうです。 工場の中を見学して、最初に気がついたのは、ラインで作業をしている従業員の帽子の色に違いがあることでした。その理由について訪ねたところ、大部分の人は青色の帽子をかぶり、普通の従業員であることを表しています。赤色の帽子をかぶっている人は、入社後(その工程を担当し始めてから)3週間未満の、いわゆる新人さんだそうです。そして、所々に点在する緑の帽子は、そのラインの責任者だということです。実に単純なことですが、この工夫が、結果として生産性を高めている、というお話でした。しばらく見学していると「磁気ヘッド」の製造ラインへ案内されました。磁気ヘッドは、磁気記憶の中枢部分で、ディスクに対して読み書きを行う部分です。小型のドライブを製造する場合、もっとも小型化に力を入れるのが、この磁気ヘッドの部分だそうです。まさに、「先端を造る先端技術」を見せてくださいました。企業秘密とあって、写真撮影は場所を限定されましたが、当然のことでしょう。 見学の後、TEACの勤務体制について説明を受けました。主な製造ラインは24時間、無休ということです。2グループ2シフトで、およそ10時間労働+残業というのが一般的なモデルです。個人レベルでは、4勤務2休暇、もしくは5勤務3休暇としているそうです。すべては、設備(機械類)を最大限に活用するためだそうです。どれだけ動いても文句を言わないのが、機械ですね。 最後に、TEAC特製の栓抜きまでいただいて、見学は終わりました。毎回企業見学するたびに思うのですが、これだけ懇切丁寧に説明していただき、細部までしっかりと見せていただける見学は、そうそうあるものではないはずです。貴重な経験をたくさん積んでいるという実感が、日を追う毎に増していきます。お忙しい中、ほんとうにありがとうございました。 さて、マレーシアでのプログラムはこれで終わりです。次はいよいよ最後の訪問国、シンガポールへと向かいます。KLIA(クアラルンプール国際空港)から飛行機で一直線! 午後4時50分、到着予定の時刻になっても電車は来ません。メンバーの頭の中に、いやな予感がよぎります。「さっき、線路に降りて寝っ転がったし…」「仁王立ちしてたがや」「…ばち当たったか。」そう。国際鉄道の割には、線路は単線で、しかも列車くる気配なし。乗車時刻までまだ間があった私たちは、線路に降りて写真を撮ったり、線路に寝ころんだり、やりたい放題してました。…それで列車が来ないのか。いや、そんなはずありませんて。時刻表より1分遅いと不快指数爆発するのは、日本人くらいです。そうこうしているうちに、定刻より10分遅れで列車がやってきました。私たちは一等車(ファーストクラス)です。飛行機はエコノミー、列車はファースト(笑)。現地ガイドさんの指示で、進行方向の先頭で待機していました。そしたら、列車が着いた後に分かったんです。『乗車位置は最後尾だ』ということに。それからは走った走った。しかも、スーツケースも一緒なので、大変でした。まだ誰も乗り込んでいないのに「ピピーッ」って発車合図の笛まで鳴り出す始末。なんとか全員乗り込むと、すぐに列車は動き出しました。窓の外では現地ガイドさんが手を振っています。そう、マレーシアはこれで終わり。ガイドさんともお別れなのです。「バクさ〜〜〜ん!!」最後まで本当に楽しいガイドさんでした。 「♪せぇ〜んろはつづくぅ〜よぉ〜 どぉ〜こまでもぉ〜〜」たっぷり5時間半。乗車扉が手動なんで、走行中でも勝手に開けることができるんです。外国人のお客さんがドアを開けて、身を乗り出して外の風景を見ていたので、私たちも少し挑戦。向かい風がかなり強かったですが、まるで「世界の車窓から」みたいでした。(※日本では犯罪となるので、やめましょう)そして、夜もすっかり更けたころ、列車が再び止まりました。すると、制服姿のおばちゃんが数人、列車に乗り込んできました。出国審査です。審査といっても、パスポートをチェックし、出入国カードの半片を回収するだけですが。そして再び走りだし、長い橋を渡ると、そこはもう、シンガポールでした。すると、またもや列車は止まりました。今度は、大きな駅のような所です。ここが入国審査の場所なのです。ここでは一旦荷物も持って下車し、標示に沿って手続きをします。これは、普通の空港での流れと一緒です。そのあと、再び列車に乗り込み、市街地にある終着駅へと向かいます。 シンガポールの駅に無事、到着しました。お腹ペコペコの私たちを、現地ガイドのクリスさん(超美形)が出迎えてくれ、バスにのってホテルへ向かいました。ホテルに着いたら、22時を過ぎていました。これから、遅めの夕食です。ホテルのレストランで夕食を済ませ、この日はすぐに就寝しました。明日から、早速プログラムぎっしりです。最後の国で力尽きることないよう、最後まで気を引き締めてがんばろう、と心に誓いました(おおげさ)。 それではまた、次回の報告でお目にかかります。
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