中学生の自己表現力を育てる指導の研究

目的:中学校の短学活において、アサーション・トレーニングを実践することにより、生徒の自己表現力が高まることを明らかにする。

結果:モデリングやロールプレイングに多くの時間をかけられない学校現場において、今回作成したワークブックを使用など工夫して取り組むことで、自己表現や他者理解の必要性を学ぶきっかけになったと思われる。短学活では活動時間の制約もあるが、短時間ゆえに集中して実施できるという利点もある。今回は中学校一年生で実施したが、自分自身の気持ちへの気付きと言語化を要するという点で、アサーション・トレーニングは難易度はやや高かったのではないかと思われる。しかし、本研究ではスキル不安の生徒に対して有効性が検証された。スキルが定着している生徒にとっても今までの自分自身の行動を再確認・修正する機会となり、意義がある活動になったと思われる。発達段階を考慮して上の学年で取り組んだり、年度当初から繰り返し取り組んでいくことで、より有効な手段として考えることも可能であろう。日ごろからかかわっている親・教師を中心とする大人像が生徒のモデルとなり、学級担任や教科担任の日常のかかわりや言葉掛けも、良くも悪くも影響を及ぼしやすい。理想となる姿や表現方法を知る場面を短時間でも触れる機会を提供したことで、状況や他者に配慮した表現方法を知る効果はあったと思われる。以上のことから本研究の成果として、必要に応じたスキルの獲得のきっかけとなり、自己表現や他者尊重の意識に変化が認められていることから短学活でのアサーション・トレーニングは効果があると思われる。