帰国生徒の受け入れと特別入試の意義と課題

目的:海外帰国生徒の受け入れと特別入試(これを「海外帰国生徒モデル」と呼ぶ)が、いつなぜ成立したのか、そしてそれがどのような機能を果たしてきたかを考察する。ついで、この「海外帰国生徒モデル」を中国帰国生徒に適用したことによりどのような問題が生じたかを検討し、最後に帰国生徒、外国籍生徒の入学機会をめぐる特別措置について「積極的差別是正策」の視点から今後の課題を検討する。

結果:これまでのように帰国生徒や外国籍生徒の入学機会を保障するという入り口だけの改革でなく、入学後の学力保障や就学保障を早急に充実していく必要があり、また、従来の教育の枠組や学校の制度・組織・カリキュラムなどを固定したままで、 帰国生徒や外国籍生徒を受け入れるのではなく、システムや構造自体を変革するという視点が重要であることを確認した。