アメリカにおける補習校の児童・生徒の日本語力及び英語力の習得状況

目的:北米4ヶ所にある補習校に在籍する合わせて約1600名の小、中学生の日本語力、英語力の習得状況、及び滞米年数や米国入国年齢と語学力との関係を調査する。

結果:児童・生徒の滞米期間、及び言語能力診断テストの結果から得た日本語語彙力、助詞、文型、漢字、及び英語語彙力に関するデータをもとに(1)滞米年数の分布状況(2)学習言語としての日本語力・英語力の習得状況(3)日本語力と英語力の関係(4)滞米年数と日本語力、英語力の関係(5)米国入国年齢と日本語力、英語力の関係、について統計的に分析し、検討した。その結果、(1)補習校に在籍している児童・生徒の滞米期間が長期化し、英語優位のパーシャル・バイリンガルに移行している傾向がある(2)日本語力のばらつきが、小学校4年生ぐらいから顕著になる(3)小学校の高学年までには日本語話者として習得されるべき助詞、文型などの基礎文法が、中学生になっても習得されていない場合がある(4)日英両語高度発達型のバイリンガルも多数いるものの、両語とも学年レベルに達していないリミテッド・バイリンガルも少数ながら存在している、等の点が明らかになった。これらの結果は、今後の補習校における言語教育の充実にさらなる具体的指針を示すものである。