文字式における二面性に関する研究

目的:数学的概念形成過程を、A.Sfardの数学的概念の二面性理論に基づいて明らかにし、それを基礎に文字式に関する子どもの理解の長期的変化を調べ、文字式指導への示唆を得ることを目的とする。

結果:Sfardの理論及び文字式に関する子どもの理解の実態から、文字式が過程と所産を表すことの理解の困難性と変数理解の困難性に着目し、その理解の実態を経年的に調べた。Sfardの概念形成モデルの枠組みを基に分析したところ、文字式理解の長期的変化の一端を明らかにすることができた。これは、文字式理解の長期的変化を捉える基礎理論として、Sfardの二面性理論が有効であることを示唆しているといえる。